東員町のひと

町民の皆さんが活躍できる取り組みやメニューを紹介します。

おみごと!かつやくセミナー  第2回「みんなが元気で活躍するまち ~東員町に未来はあるのか~」 レポート

■講 師  山田 桂一郎 氏
■日 時  平成30年1月13日(土)14:00~
■場 所  東員町総合文化センター2階 展示室



◎スイスなど海外の国も含めたまちづくりの経験から

 山田さんが住んでいるのはスイスのツェルマット。有名なマッターホルン山のふもとにある人口約5700人の小さな村です。ヨーロッパを中心に国外でも活動する中、毎月1回は、日本とスイスを往復し、日本各地で地域活性化などの様々な活動を行っているそうです。
  山田さんは「まちづくりに関して外国には色々な面で日本より早く経験を積んでいる国も多くある。それを参考に日本各地の取り組みに合ったアドバイスや、一緒になって事業実施を行っている。」と述べていました。

 続けて今回のタイトル「東員町に未来はあるのか」というテーマについて「未来は一体誰が引き継ぐのでしょうか?」と会場のみなさんに問いかけ、次のように述べていました。
「結論のような話になるが、東員町の未来を引き継ぐのはみなさん。私が東員町の未来があるかどうかという話はできない。未来がどういう形であるかはみなさん次第。今手を打てば良くなることもあるし、放置すればダメになることもある。みなさん、どんな未来にしたいか自分なりに空想や妄想があるかもしれない。それに向けて取り組んだとしても、自分が生きているうちに見られるかどうかは分からない。でも町は残る。」
 また、まちづくり活動の性質について「あらゆる問題は解決すると必ず次の問題が出てくる。永遠に活動しなければならない。ただ、今やることが確実に未来に反映される。」と話していました。

◎自立と持続する地域の経営

「地域振興は、観光だけやっていてもダメ。農林水産だけ、中心市街地活性化だけなど一つ一つやっていても意味がない。 最終的には地域全体のマネジメントなので色々なことをやらないと地域は良くならない。」と話し、まちに必要なのは「自立と持続する地域の経営」と表現していました。
 具体的な例としてスイスを取り上げ、「スイスは小さな自治体が多く、人口が多い基礎自治体でも5000人から10000人程。 こうした基礎自治体の経営で、日本と大きく違う特徴的なところは、国から交付金をもらっていないところ。 交付金をもらわず経営が成り立つのはどういうことか。

 ひとつの要素としては、地域内の民間事業者が、 それなりにビジネスがうまくいって、稼いでいること。そうでないと税収はあがらない。 私の住んでいるツェルマットは州政府、連邦政府に逆に交付金を差し上げている状態。 日本は都心を中心とした大企業が稼いで再配分となっている。 日本の制度設計が問題という話もよく言われるが、 国に依存しないとやっていけない仕組みになっている。稼いでも、稼がなくても交付金でまかなわれる。」

◎エゴと利害

 続いて、地域活性化を阻むものとして「エゴと利害」について取り上げていました。 山田さんの言う「エゴと利害」というのは「論理的判断」ではなくて「情緒的判断」で物事を決定してしまうこと。 具体例で言うと、例えば町のためになるどんな良い計画を持っていっても「お前が嫌いだからその計画はNO」のような結果になってしまう。団体の重鎮などに多い傾向で、 今までの様々な地域でこうした状況を見てきたそうです。これについて大きく3つの話がありました。

 1つ目は、中小企業の経営者。「世代交代出来ない中小企業の経営者」というスライドを使用し説明がありました。
その中で山田さんは「自分の子どもたちに、この町は良い町だから家業をついでくれ、また家業を継がなくても良いから自分の育った町で頑張れ、 という人はまだ良い。自分の子どもたちは域外に出しておいて、人口減少だから人はほしいというのは矛盾。現実は人口減少、高齢化でまだ困っている人が少ない。」と話していました。
 2つ目は、ある観光地の商店街組合の話で、そこは2キロメートルほどの商店が並ぶ地域に、商店街組合が39もあるそうです。その理由を当事者のみなさんに聞いたら「人間関係が悪くて、いがみ合いでこうなった」とのことでした。
 3つ目は、都市周辺の東員町の環境に似た地域の話です。そこに住む方々と話す中で、上の世代の方々が言っていた言葉です。 「俺たちは今まで十分にやってきたんだから、これ以上活性化だのやる必要はない。年金や自治会費をたくさんもらうのは当たり前で、役場が俺たちに対して礼を尽くすべき。」 これに対し山田さんは「こういうことを今の時代にも平気で言っている。これには心が痛かった。困るのは今後の世界で生きる人たち」と指摘していました。

 3つの事例から、山田さんはうまくいっているところのまちづくりの傾向として「様々な世代がそれぞれの立場で役割を果たしていること。全体のリーダーはいない。それぞれの世代でリーダーシップを発揮している人がいる。誰か一人がひっぱっていくと、その人がコケるとすべてが崩壊する。」と話していました。
 重ねて「まちづくりの世代交代は必要だが、そこで長年生きてきた人の知見も大切。それを引き継いでいく必要がある。それは何のためにやってきたかを理解する必要がある。上の世代の方たちは、今まで汗をかいて大変だったことは若い世代にまかせても良いと思う。ただ一歩引いたときに、俺は知らない、あとは頑張れとなると役割を果たしていない。これからは特に女性にまかすことも必要。私は東員町の若者会議にも関わっていますが、まちづくりは役割分担が大切。みなさん家族や仕事もある。周りと協調することが大切。 地域をどうするかは総力戦だが、現実全員では無理。日本では頑張っている地域でも活動している人は1割いるかいないか。ヨーロッパでも1割から2割。」と話していました。


◎意識の段階

 続いて、意識の段階についての話がありました。 「みなさんの中では、そうは言っても東員町はまだまだ大丈夫じゃないか。役場がなんとかしてくれるんじゃないか。役場がダメでも県や国がなんとかしてくれるのではないかという意識の方もいるのではないか。人口減少社会で20年ほどは減り続けることが確実。これからの戦略は撤退戦略。基本的に負け戦で余計なことはできない。選択と集中で、まんべんなくはできない。ダブリとモレをなくす。


 今となっては自分たちで回復するしかない。初期段階でやっていた方が良い。」このように話し「危機的状況に陥るパターン」として、スライドを紹介していました。
 第一段階【無関心】 → 第2段階【拒否、拒絶】 → 第3段階【犯人探し】→第4段階【現実直視】(スライドから)
 「東員町はどの段階でしょうか。みなさんが色々な問題に対して誰も声を上げないとどうなるでしょうか。あきらめて行動しない。何もしないで社会は良くなるのでしょうか。」


◎みんなの活動が東員町の将来を創る

  山田さんは、東員町を客観的な視点から述べ、そこに住む方々のあるべき姿について次のように締めくくりました。
  「私は色々なまちに関わっているから実感するが、東員町は極めて住みやすい環境。田畑もあって、今日のように天気の良い昼には冬だって暖かい。 大都会名古屋にも簡単に行ける。今日も白い山があんなにきれいに見えて、まるでスイスの平野部に住んでいる感覚。こんなに良いところを維持するために、なんとかしたいとならないのでしょうか。」  

 「私もスイスと日本を自腹で通っています。なぜ好き好んでそんなことやっているんだって言われるが、日本人として誇りを持っている。ここまで育ててくれた三重県にありがたいと思っているから。」
  「今の地域振興、活性化は、まさにこのまちをどう残すかということ。どう残すかはみなさんが考えること。実現可能な現実として理想を描いてほしい。 せめて自分が生きている間、これだけはやっておいたという自負。これが大切。
 みなさんがこの町をどうするかと考えたとき、活動しなければ誰もこの町には来ない。住んでいる人が町のことを何も考えず、自分のことばかりで、何の活動もせず「別にいいや…」って、 ほったらかしにしている町に来たいと思うでしょうか。スポーツで必死に頑張る人を応援したくなるように、何かに向かって頑張っているまちに住みたいと思う人は多い。移住の多いまちは住民が頑張っている姿がよく見える。 東員町外の人がうらやむようなことをするべき。 誰かにまかせるのではなく、自らが動く。動ける方から、気づいた方から動く。 地元で頭と体をフルに使って、町のため、将来のため、子どものためと活動していれば健康寿命も全うできると思う。」

  最後に山田さんから地域振興についてスライドを使い紹介がありました。 それによると地域振興とは「地域から人が減らなくなること!」として3つに分類し①「当地で生まれた人が戻ってくる」 「②当地を気に入って移住してくる」「③そして、子どもが生まれ続ける」そのために「住民が自身と誇りを持ち、地域をより良くして後世に引き継ぐこと」 が大切であると話していました。